建設資材メーカーM社技術部

海沿いの新設バイパス道路を支えるには、高耐久性のコンクリートが必須!
安定した製造工程と、強度に優れた橋梁を実現した画期的な「混和材」の秘密とは?

M社の技術部では、海沿いのバイパス道路の新設工事を受注したゼネコンから、橋梁に使用するコンクリートについて相談を受けた。

課題

バイパス道路の橋梁に使用する強度の高いコンクリートが求められている

この件を担当する技術部のS氏は、ゼネコン担当者と詳細な打ち合わせを行いました。それによると、今回の案件は降雪の多い東北地方の海沿いエリアでの工事となるため、橋梁には特に強度の高いコンクリートを使用し、融雪剤や潮風による塩害対策も必須とのことでした。

フライアッシュは強度増進に効果的だが、品質管理や製造に手間がかかる

この要望を受けたM社の技術部では、今回受注したコンクリートに混和材料として、長期強度増進・遮塩性向上などの効果があるフライアッシュ(石炭ボイラーから生じる灰(飛灰))を使用することで対応可能と考え、検討を開始しました。しかし一般的に、フライアッシュには2〜10%の未燃カーボンが含まれており、これが化学混和剤、特にAE剤(耐凍害性向上のために空気を混入する薬剤)を吸着してしまいます。それにより、耐凍害性確保に必要な空気量を調整することが難しく、結果として低品質なコンクリートになってしまうことが問題でした。
実は、この未燃カーボンの含有量は常に一定ではないため、ロットごとに調査を行い、その都度、フライアッシュや化学混和剤の量を調整するなど、煩雑な管理が必要でした。経時変化も大きく、品質保証が難しいこともあり、生コン会社でもフライアッシュの使用はあまり歓迎していないとの話もあります。

「フライアッシュのメリットを生かして、より耐久性の高いコンクリートを提供したい。品質管理や製造の手間を排除した、通常の生コン製造と同様に扱えるフライアッシュがあるといいのですが・・・」(技術部・S氏)

S氏は少しずつ情報収集を始めました。

課題のポイント

  • 海沿いのバイパス道路の橋梁建設用に、強度の高いコンクリートの発注を受けた

  • 混和材のフライアッシュは強度増進に効果があるが、品質管理や製造に手間がかかる

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