製造業S社製造技術部

6,000点以上のモーターやポンプの巡回監視。ベテランの目視と感覚だけではもう限界・・・
日本製紙の工場で実証された、シンプル・イズ・ベストの監視機器の実力とは?

国内外に7ヶ所の工場を持つ中堅の製造業S社。S社の主力製品は東南アジアを中心に全世界で需要が高まっており、工場はほぼ連日フル稼働の状況であった。

課題

モーターが焼きついて、あわやライン停止!こんなヒヤリは二度としたくない・・・

製造ラインのフル稼働の裏側では、モーターやポンプ類にかなりの負荷がかかっていました。これら6,000点以上に及ぶ機器について、負荷状態を正確に把握するため、S社では巡回による点検を行っていました。点検には、目視や感覚によるところが大きいことから、経験豊富で職人的な技能を有するベテラン社員が若手を牽引して実施する作業となっていましたが、年々この作業を行える人材が減少している点が課題でした。

一方、これらの機器は、老朽化が進んでいるものも多く存在しており、巡回点検の時間が増えてしまう要因となっていました。巡回点検を担当している製造技術部のN氏は次のように語りました。

「老朽化しているモーター類は特に注意して見ていましたが、ある日、あと少しのところでモーターが焼き付いて、あわやライン停止というヒヤリハットを経験したので、毎日怖くて・・・」

IoTの導入を検討するも、コストや設置時間の障壁が高く・・・

工場のIoT化が進む中、S社でも巡回点検にIoT技術を使って、メンテナンス人材不足に対応できないか検討することにしました。まず検討したのは、精密診断(故障予知と異常箇所特定が可能)ができるシステムの導入でしたが、1機器あたり数十万円程度と想定される導入コストの高さと、1カ所あたり数十万円かかる電源工事やケーブル設置工事という設置の手間を考えると、6,000点以上もの機器に採用するのは、難しいと判断しました。次に、無線を用いた監視システムや、監視システムと連携した通報システムについても検討しました。

しかし色々調べた結果、監視や通報システムについても、精密診断の場合と同様のコストと設置に要する手間がかかることが分かり、検討を見直すことになりました。

S社は情報収集を急ぎましたが、IoTの知見も少なく、具体的な解決策をなかなか見つけ出せませんでした。

課題のポイント

  • 機器の巡回点検を、目視と感覚に頼っているが、できる人材が年々減ってきている

  • 機器の老朽化でモーターが焼き付き、あわやライン停止という事態を引き起こすところであった

  • IoTの導入を検討するも、かなりのコストや設置時間かかるため、断念した

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