• ホーム
  • コラム
  • パッケージ雑記帳
  • 「紙でできる未来(あした)がはじまる。」─withコロナからフォアキャスト、2030年からバックキャスト。これからの紙製パッケージとは─

「紙でできる未来(あした)がはじまる。」
─withコロナからフォアキャスト、2030年からバックキャスト。これからの紙製パッケージとは─

東京パック2021 日本製紙グループ展示ブース 予定パース

2/24-26開催「TOKYO PACK 2021」(以下、東京パック2021)の日本製紙グループの展示テーマは、「紙ノベーション!紙でできる未来(あした)がはじまる。」としました。withコロナを意識しつつ、SDGs目標達成年度である2030年のライフスタイル、パッケージの姿を思い描き、そこからバックキャストして紙でできる製品や世界観を提案しますが、本コラムでその背景をご紹介します。

まず、現状分析として、足元の生活や行動様式について、withコロナ下での新常態として多くのメディアやシンクタンクが論じているが、特にパッケージに関連すると思われる項目を筆者なりに抜き出してまとめてみた。

図1:コロナ以前、以降の生活者の行動様式変化(パッケージ関連項目)

図1:コロナ以前、以降の生活者の行動様式変化(パッケージ関連項目)

図1の右囲み〔新常態下の価値観変化〕に記載した中で、筆者が特に押さえておきたいことがある。

  • 感謝:ソーシャルワークとはいえ、今まで他人の職業にこんなに感謝したことがあったであろうか

  • 貢献:自分が行ったり、買ったり、食べたりすることで経済を回したり社会に貢献したいという声の多さ

という“気持ち”の話で、消費に関わる価値観の大きな変化を感じている。これがエシカル消費として広がることで、グリーンリカバリーという重要なアクションの拡大に大きな舵が切られていく。生活者は参画者としてその役割を担っており、生活者の今後の購買に関する気持ちを知ることは極めて重要と考える。

図2:東京パック2021 日本製紙グループ出展製品・開発品の位置づけ

図2:東京パック2021 日本製紙グループ出展製品・開発品の位置づけ

製品開発にwithコロナによる新常態下の価値観や気持ちを織り込む資料として、日経BP社による“ビジネスパーソン1000人に「今後、商品・サービスの決め手となる要素は何か」を調査した結果”を参考にした。時節柄の安心・安全、衛生、抗菌などに高い支持が集まり、低価格、高品質は定番的ニーズとして支持がある。また、まとめ買いや家庭内ストックの重要性を痛感したせいか、製品の保存性やネットで買いやすいことも特徴として読み取れる。応援消費やSDGsのような指標も示されており、上述したように小さなパーセンテージでも侮れない。
この調査結果や各種シンクタンク情報などを参考に〔今後の購買のキーワード〕としてフォアキャストのベースを整理した(図2左囲み)。

また、2030年からのバックキャストとしては、日本包装技術協会に属する日本包装専士会の力作である「2030年の包装の未来予測プロジェクト」の提言を参考にした。本提言はコロナ以前の2018年に発表されたものであり、コロナを踏まえた未来予測の指標として2020年9月に開催された世界軟包装会議の情報も一部取り込んだ。注目すべきは「今後10年間パッケージング業界に最も影響力を及ぼすと思われる要素についての回答率」という調査(2020年7月PTIS調べ)※2
上位から順に、eコマース、ニュープラスチックエコノミー、次世代リサイクル、法規制、DX、食品ロス、気候変動、バイオ素材、ワンウェイパッケージの禁止、規制と続く。このあと14位まで発表されているが、コロナに関連するような要素は出てこない。また「次の10年に求められる技術、能力とは」という調査(同)では、サステナビリティ技術、包装材料の技術や知識、コラボレーション、オープンイノベーション、適応力、柔軟性、先見性、洞察性となっている。
いずれの調査でも10年というスパンで考えた場合、2030年はアフターコロナの時代であり、グリーンリカバリーを軸としたパッケージ戦略が粛々と実現されていく時代と捉えられているように感じた。これらの情報や各種シンクタンク情報を基に、そこから紙が関わっていくべき項目を抽出し〔2030年のパッケージ予測〕を組み立てた(図2右囲み)。サステナブル、食品ロス削減、eコマース対応の3つを大きな柱とし、そこからバックキャストして当社の新製品や仕掛かっている開発品についての位置づけを再確認した。
当社の展示製品、開発品は、現状からのフォアキャストと10年後からのバックキャストの狭間で、〔日本製紙グループの展示内容〕(図2中央囲み)は未来(あした)に向けたパッケージングの端緒としてポジショニングされている。

今回、その中から会期前ということもあり1つだけ紹介させていただく。

図3:「紙化のイノベーション方向性」 サステナブルブランド国際会議2020の筆者講演で使用したスライド

図3:「紙化のイノベーション方向性」 サステナブルブランド国際会議2020の筆者講演で使用したスライド

ワンウェイ容器のリサイクル技術獲得は今後のパッケージ業界での大きなテーマだが、リサイクルを阻害する要因のひとつにマルチマテリアル(複合素材)がある。その解としてプラスチックの積層技術でのモノマテリアル(単一素材)化やケミカルリサイクルの技術開発などが広がっている。紙の場合は、紙とプラスチックのラミネートから“紙へのコーティング”による代替技術や、“紙とグリーンプラスチックのラミネート”による高バイオマス・高生分解性パッケージという新たな組み合わせなどを模索している。

過去の筆者コラム、2019年2月21日の「海外の気になるパッケージ 欧州のスーパーマーケットに、日本の将来を垣間見た瞬間─Easy Separationという考え方─」、2019年10月21日「紙製パッケージはどのようにポジショニングしていくのか─PACK EXPO 2019から見えたこと─」などで「イージーセパレーション」という考え方のパッケージについて述べてきた。東京パック2021では、紙とプラスチックのマルチマテリアルが、使用後にプラスチックを簡単に剥がすことで、事実上、紙とプラスチックのモノマテリアルとなるイージーセパレーション製品を展示する予定。

前回のコラムで、ブランド戦略の見直しはSDGsからのバックキャストが有効ではと自説を書いたので、SDGsとの関係性について言及しておく。バイオマスをコアコンピタンスとする当社グループの事業はSDGsと親和性が高い。図4は昨年のサステナブルブランド国際会議でのパネルディスカッションで使用したもので、紙製バリア素材「シールドプラス」を例としたSDGsとの関係性をプラスとマイナスの両面から紹介した。新製品や新技術以外に、既存のブランドについてもプラスのものは強化しマイナスのものは影響を低減することでブランドの価値を再定義し向上させられるのではという提案に、参加者からは好意的な頷きを返していただいたように感じている※3

図4:「企業戦略とSDGsの位置づけ」 サステナブルブランド国際会議2020の筆者講演で使用したスライド

図4:「企業戦略とSDGsの位置づけ」 サステナブルブランド国際会議2020の筆者講演で使用したスライド※4

おわりに

本日時点(2021年1月6日)で、首都圏での緊急事態宣言発令間近となっています。東京パック2021の日本製紙グループブースは、3密対策として壁を無くし通路を広く取った空気が通る設計となっています。また、ブースを構成する造作・什器の99%以上がリユース、リサイクルされるエコデザインで、サステナブルな素材である紙の会社の展示会として循環型の姿勢にこだわってまいります。無事開催の折には、当社グループブースに足をお運びいただきますよう、よろしくお願いいたします。
また、当社は東京パック2021同時期に開催されるサステナブルブランド国際会議2021YOKOHAMA※5に今回もスポンサーとして参加いたします。こちらにもぜひご注目いただければと思います。

日本製紙 パッケージング・コミュニケーションセンター長 金子 知生(包装専士)

※1 「新しい生活様式」 2020年5月4日厚生労働省 参照

※2 未来予測に利用した2020年世界軟包装会議の情報については、缶詰技術研究会発行の月刊誌「食品と容器」2020年№11、12に、株式会社パッケージング・ストラテジー・ジャパン社長の森泰正氏の詳細なレポートが掲載されています。森社長には前回の東京パックで当社ブース内セミナーに2度ご登壇いただき、多くのお客さまに情報提供をしていただきました。東京パック2021では本会の講演をされる予定のようですので、ぜひ聴講をお勧めいたします。
東京パック2021

※3 当社グループのSDGsに関する最新の公式な記述は、「CSR報告書2020」でご確認いただけます。WEBサイトからダウンロードできます。
日本製紙グループCSR報告書

※4 SDGsロゴについては、国連グローバル・コミュニケーション局による「持続可能な開発目標 カラーホイールを含むSDGsロゴと17のアイコンの使用ガイドライン」より、下記2項の情報目的に該当するものとして使用しました。
2. SDGsロゴ・バージョン2、SDGsカラーホイールおよび17のSDGsアイコンの使用
SDGsロゴ・バージョン2、SDGsカラーホイールおよび17のSDGsアイコンは、下記に定める条件に従い、(i)情報提供、(ii)資金調達および/または(iii)商業用途を目的に、SDGsに対する支援を表明するために使用することができる。
情報目的
情報目的での使用とは、主として例示的かつ非商業的で、資金調達を意図しない使用を指す。SDGsロゴ・バージョン2、SDGsカラーホイールおよび17のSDGsアイコンは、このような情報目的で使用でき、その際には国連による事前許可も、ライセンス契約の締結も必要とされない。

※5 サステナブルブランド国際会議2021YOKOHAMAは、2021年2月24日から25日、パシフィコ横浜で開催されます。当社グループから日本製紙並びに日本製紙クレシアが参加いたします。
サステナブルブランド国際会議2021YOKOHAMA

課題解決事例や紙に関する情報などを定期的にお届けします。
是非ご登録ください!

メールマガジンの登録はこちら