「口当たりの良さ」と「高い耐久性」!
こだわり抜いた「紙ストロー」が生まれるまで

開発の背景とは?

世の中で「脱プラスチック」の動きが高まっている中、当社でもなにか貢献できることがあるのではないか──そうした機運が社内で高まり、プラスチックを紙で代用できるものとしてストローに着目したのが、このプロジェクトの始まりでした。

2018年の初夏、紙ストローのプロジェクトが発足します。関連する多数の部署が集結し、十数人のメンバーが参画。これまでにない、幅広い部署からメンバーが集まった横断的なチームになりました。

プロジェクトに立ちはだかった障壁

障壁その1:品質の差別化

プロジェクト開始時点で、すでに数多くの紙ストローが販売されていました。早速プロジェクトメンバーで試飲会を行ったところ、「口当たりが紙っぽくてイヤ」「映画館で使うには厳しいレベル」「コーヒーの色が飲み口まで上がってくる」といった意見があがりました。開発の方向性が決まりました。これまでにない、「口当たりの良さ」と「高い耐久性」の両立です。

実はこのとき既に、別の開発検討が社内で進行していました。
日本製紙が行っている「小集団活動」による紙ストローの開発です。プロジェクト発足前の2017年冬、「ウミガメの鼻にプラスチック製ストローがささった」動画をきっかけとし、既存の紙ストローの品質に対し同じ不満をもった研究所メンバーが検討を開始していたのです。
これを知ったプロジェクトメンバーは早速、当社が確保すべき紙ストローの品質を、小集団活動で紙ストローに取り組んでいる研究所メンバーに伝えました。そして製造方法や仕様を固めるべく、まずは手作りでさまざまな紙ストローを作成し、スクリーニングする作業が急ピッチで進められていきました。
この小集団活動メンバーとの連携によって、開発スピードが一気に上がったのは言うまでもありません。

※小集団活動:日常業務とは別に数人からなるグループが共通テーマを設定して取組む活動。

障壁その2:商業生産ベースでの生産確立

手製の紙ストローの試作を繰り返すことで、製造方法と仕様が固まりました。あとは簡単、紙ストローの製造機械で巻き上げて完成。開発目標は2018年12月末。「余裕で完成できそうだな」プロジェクトメンバーは、誰もがそう思っていました。

・・・甘い考えでした。実機での製造は簡単ではありませんでした。紙ストローの製造機械では、巾15mm程度に細長く巻き取られた紙のロール(径の大きな紙テープのようなものです)を2〜4層ほど糊で貼り合わせながら、細い鉄芯に巻付けて筒状に成形・カットすることで紙ストローを連続製造します。プロジェクトメンバーは手製ストローの試作で固まった処方で、製造機械を用いた試作に意気揚々と臨みました。ところが・・・「紙がぶちぶち切れる」「紙が滑って鉄芯にうまく巻き付かない」「生産するには速度を下げざるをえず生産性が悪い」などなど、生産現場から次から次へと課題が上がってきました。

この各種の難題に対し、生産現場・プロジェクトメンバー・小集団活動メンバーは一致団結。これまでに紙製造で蓄えた知見を活かし、それら課題をひとつずつ解決していきました。

障壁その3:品質確保・保証体制の構築

品質を確保するための生産時における製造基準の作成も一つの課題となっていました。さらに、実際に販売するには、紙ストローの品質保証体制構築、パッケージの仕様、出荷基準など、さまざまなことを決めなければなりません。人的リソースが限られる中、各メンバーは新たな紙ストローを一日も早く世に出すべく、作業を進めました。

そのような状況の中、プラスチックストローを紙化した事例がメディアで多数紹介されるように・・・。
当初の販売開始の目標時期はすでに過ぎていました。「事業化を急がなければ」という焦りを感じつつ、プロジェクトは紙ストローの販売開始を急ぎます。

そして2019年4月、遂に各種課題をクリアし、口当たりがよくて安心・安全な紙ストローの販売を開始しました。

日本製紙独自の技術と知見

日本の総合製紙メーカーの中では、当社が初めて紙ストローの製造販売を自社で手掛けました。素材となる紙を自社で作っているため、紙に関するノウハウや豊富な知識が当社の紙ストローにも反映されています。
そして、この紙ストローにはプラスチックごみ問題という社会問題に感化された有志の思いが込められています。そうした彼らの自主的な基礎研究が素地となった製品です。

開発の過程では紙の選定と品質に特にこだわり、その結果、紙ストローに重要な使用感=口あたりが、他社製品とは全く異なるとお客様から好評を得ています。また、十分な耐水性も備え、使用時の口あたりに持続性があるのが特徴です。

将来への展望

当社が開発した紙ストローは無着色です。現在のところ白色がメインですが、ラインナップの拡充を検討しており、木が本来持つ自然な色を活かした茶色系での展開も計画中です。

品質の面では耐水性強化のための開発を継続しています。また、ひとりでも多くの方に当社製品を届けられるよう、努力を続けています。
当社の紙は持続可能性に配慮した森林資源を使用しており、地球に優しいという特徴もあります。これからも当社の技術を存分に活かし、「紙でできることは紙で。」を合言葉に地球の豊かな未来に貢献していきます。

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